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2020/10/16(金)-10/18(日)伝統的ヨーガの理論と技術《AB日程》
~インドのヨーガ改革の方向性とヨーガとの付き合い方~

ヨーガの実践 講義の様子 ヨーガの実践

このワークショップは、インドの伝統的なヨーガのリソースに段階的にアプローチして行くことで、ヨーガへの理解と自信を深めて行く「伝統的ヨーガの理論と技術」のプログラムの一環です。

《AB日程》は一般向けレベルで、ヨーガ全般の「基礎知識」を確認して行きます。
ヨーガの初心者の方から長年ヨーガを実践されている方、そして現在ヨーガの指導に携わっている方にも有益な内容です。

ヨーガの本家インドでは、現在インド政府主導の「ヨーガ改革」が進行中であり、インドの伝統文化に根差した叡智を現代の保健医療・教育分野で効果的に適応して行く上で必要となる規格化/資格化へ向けた体系的な取り組みが行われています。

このプログラムでは、インドの「ヨーガ改革」の方向性に従って、講義面は2017年にインド政府AYUSH省から刊行されたヨーガの『公式ガイドブック(Certification of Yoga Professionals Official Guidebook Level1)』の「1章ヨーガとヨーガ実習」「2章ハタ・ヨーガ入門」「3章パタンジャリ入門」に準拠しながら、基本となるヨーガの知識を確認して行きます。
実習面では、伝統に基づいたスタンダードなハタ・ヨーガ技法を確認しながら、具体的に参加者のみなさんが日々のヨーガの練習を確立出来るようにバランス良く構成されて行きます。

《AB日程》は比較的知識面にポイントが置かれますが、ヨーガのどのような側面に興味を持たれている場合でも、ヨーガの基本の再確認として役立つ集中プログラムです。

日程:
《AB日程》2020年10月16日(金) 〜18日(日) [2泊3日]
参加費:
55,000円(2名1室、1名あたり)
(相部屋はご用意しておりません。おひとりでご宿泊の方は個室料金+6,000円を頂戴します。)
講師:
相方 宏・ひで子
レベル:
一般向け(初心者から経験者、指導層まで)
宿泊棟:
森エリアまたは新棟
  • ※10%税込、宿泊費、食費、プログラム参加費のすべてを含みます。
  • ※AB日程の翌日より、相方先生主催のワークショップ「技術編」がおこなわれます。詳しくは下記をご覧ください。
  • ※ゆっくりと養生園の滞在を楽しみたい方には前泊・延泊がおすすめです。
    新棟、里の家ともに1泊~可能。(里の家相部屋1泊11,000円、新棟個室1泊16,300円)
  • ※例年、ワークショップ直前にキャンセルされる方が多く見受けられます。参加されたい方に席をご用意するためにも申し込みをされる際は、ご自身のスケジュールの確認をお願いいたします。

【ワークショップ内容】
1章 ヨーガとヨーガ実習
1.1 ヨーガの語源
1.2 ヨーガの起源と発展の簡潔な紹介
1.3 ヨーガの目標と目的
1.4 一般的なシャッド・ダルシャナの紹介、 特にサーンキャ・ヨーガに関連して
1.5 ヨーガの4つの道の一般的紹介
1.6 ヨーガとヨーガ実習の原則
1.7 ヨーガ実習のガイドライン

2章 ハタ・ヨーガ入門
2.1 ハタ・ヨーガの紹介
2.2 主要なハタ・ヨーガ文献の概説、特に『ハタ・プラディーピカー』と 『ゲーランダ・サンヒター』を参照
2.3 ハタ・ヨーガ修行の成功要因(サーダカ・タットワ)と失敗要因(バーダカ・タットワ)
2.4 ハタ・ヨーガに於ける「ガタ」と「ガタ・シュッディ」のコンセプト
2.5 ハタ・ヨーガに於ける「シャット・クリヤー」の目的と有用性
2.6 ハタ・ヨーガに於ける「アーサナ」の目的と有用性
2.7 ハタ・ヨーガに於ける「プラーナーヤーマ」の目的と重要性

3章 パタンジャリ入門
3.1 パタンジャリによるヨーガの定義、本質、目的
3.2 「チッタ」と「チッタ・ブーミー」のコンセプト
3.3 「チッタ・ブルッティ」と「チッタ・ブルッティ・ニローダ・ウパヤ」(アビヤーサとヴァイラギャ)
3.4 「イーシュヴァラ」と「イーシュヴァラ・プラニダーナ」 のコンセプト
3.5 「チッタ・ヴィクシェーパ(アンタラーヤ)」とそれらの付随現象(サハ・ブーヴァ)
3.6 「チッタ・プラサーダナ」のコンセプトと精神衛生との関連
3.7 ヨーガに於ける「クレーシャ」とその重要性
3.8 パタンジャリの「アシュターンガ・ヨーガ」:その目的と効果、その重要性

◎「伝統的ヨーガの理論と技術《技術編》」開催について

上記AB日程に続いて、相方先生主催による「伝統的ヨーガの理論と技術《技術編》」のワークワークショップが開催されます。

日程:
2020年10月19日(月)〜22日(木)[3泊4日]
対象:
ヨーガ経験者/技術面の深化を志向する方
内容:
技術編(アーサナ/プラーナーヤーマ/ムドラー)

興味のある方は、次のページをご参照のうえ、相方先生へ直接お申し込みください。
arrow_righthttps://www.facebook.com/dentotekiyoga/

【伝統的ヨーガの理論と技術】

ヨーガの歴史は古く、そのルーツはインドの精神的修行法として伝承されて来た身心統合・精神統一の方法論にあります。1920年代にヨーガの学術的研究が西インド・マハーラーシュトラ州のロナヴァラに設立されたカイヴァリヤダーマ研究所で着手されたことで、サイエンスをベースとした近代的ヨーガが一般社会の医療・教育分野に浸透して行くプロセスが始まりました。1960年代以降、ヨーガはある種の神秘的な装いを纏うインド発の健康法として諸外国にも広く伝搬されて行き、日本にも1960年代からヨーガが紹介されて来ました。日本では1990年代にヨーガが絡む大きな社会的スキャンダルによる停滞がありましたが、近年再びヨーガ・ブームと呼べる時期が到来しています。

しかし、ヨーガは無限とも言える多様性を許容するインドの宗教文化に伝承されて来たため、誤解や混乱も多い分野です。特に、基準となるスタンダードな理論や技法への認識の不足が、しばしばヨーガの常識的な理解や社会的受容への障害になって来ましたし、ヨーガにまつわる誤解やスキャンダルの温床にもなっていました。

ヨーガの本家インドでは、インド国外でのヨーガの恣意的な解釈や行き過ぎた商業化、またインド国内でのヨーガへの関心の高まりから、2008年にモラルジデサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)主導によりインド・ヨーガ協会(Indian Yoga Association)が結成され、ヨーガのスタンダード化とヨーガ教育課程へのガイドラインを策定する作業が着手されました。そして、2014年にヒンドゥー民族主義系のインド人民党(BJP)政権が成立したことで、国策としての「ヨーガ改革」が始まると同時に、ヨーガを世界的な文化戦略のツールとする政策が進行中です。

2015年から国連で「6月21日」が「国際ヨーガ・デー」として制定されたことに合わせて、国立ヨーガ研究所から「ヨーガ共通手順(Common Yoga Protocol)」が提示され、同時にインド政府AYUSH省でQCI(Quality Council of India/インド品質協会)によるヨーガ検定試験制度が導入されました。2017年には公式ガイドブックも出版され、その延長線上でWHO(世界保健機構)からヨーガ・トレーニング・プログラムの国際基準となるベンチマークも公表される予定です。また、インド国内の各大学にヨーガ学科の開設が推進されるなど、インドではヨーガの「ルネッサンス」と呼べるような状況がやって来ています。

わたしたちがこれからもヨーガと関わって行く限り、インドで現在進行中の「ヨーガ改革」の方向性を無視することは出来ないでしょう。とかく今までヨーガには実体のない「鵺(ぬえ)」のようなところがありましたが、ヨーガに関する客観的で公的な基準が明確になって来たことで、今後どのような距離感でヨーガと付き合って行くかの考察と具体的な対応が可能になって来ました。またインド側が「ヨーガはインドの伝統文化である」という主張を前面に押し出して来たことで、ヨーガと健全な関係を築いて行く上での日本人としての主体性も問われています。

現在インドで進行中のヨーガ改革も、1920年代からロナヴァラに蓄積されて来た学術的なヨーガのリソースが土台となっています。日本でも今後も健全なヨーガの活動が持続的に発展し、ヨーガによる恩恵が提供されて行くには、常にインドの伝統的リソースに基づいたニュートラルで学術的なヨーガの知識を確認して行くことが有益です。各個人の多様な関心に答える柔軟性もヨーガの特性のひとつですが、ヨーガのどのような面に興味を持つ場合でも、ある段階で伝統的なヨーガのリソースについて知って行くことは望ましいステップと言えます。

2008年から着手された「伝統的ヨーガの理論と技術」というアプロ―チは、ヨーガとライフワーク的な付き合い方を志向されている方へのサポートとなるよう、時代の変化に合わせて常に最適化が進められています。 

相方 宏・ひで子

講師プロフィール

相方 宏(あいかたひろし)

広島生まれ。東京外語大インド・パーキスターン学科卒インド・マハーラーシュトラ州のカイヴァリヤダーマ研究所付属カレッジ卒(DYEd1990-91)、1991-93年プネー大学哲学科修士課程(M.A.)修了、博士課程(Ph.D.)中退。1995−7年インド政府給費留学生(ICCR)、1996年インドの大学講師資格試験通過(SET/哲学)。近代的ヨーガ研究のパイオニアであるスヴァーミー・クヴァラヤーナンダ(本名ジャガンナート・グネー:1883-1966)が1924年に設立したカイヴァリヤダーマ研究所の主要スタッフであったマノハール L.ガロテ博士(1931-2005)に師事。ガロテ博士が1996年に設立したロナヴァラ・ヨーガ研究所のプログラム・コーディネーター。また、2014年に開講されたカイヴァリヤダーマ研究所のオンラインコースのメンター。1998年よりタイランドの大学でヨーガを医療・教育分野に導入する活動に従事(シーナカリンヴィロード大学哲学宗教学科、ソンクラー大学看護学部)。2004年よりMCB財団タイ・ヨーガ研究所共同ディレクター(http://www.thaiyogainstitute.com/)。1年をインドでの「研究期間」とタイでの「仕事期間」に割り当てながら、ヨーガをテーマとしたインド研究とアジアの精神性の探究を続ける。近年は広い意味での仏教的精神性とヨーガの統合的理解へ注力中。日本では2008年より穂高養生園で「伝統的ヨーガの理論と技術」の合宿セミナー・シリーズを実施。

相方秀子(あいかたひでこ)

東京生まれ。1987年より、夫とヨーガの探究生活に入る。1990年よりインド・タイ在住、インドやアジア諸国に伝承されている健康の維持増進の方法論についての研究と活動。公私に渡り、夫の研究と仕事をサポート。ヨーガをテーマとして、インドやアジアの仏教国での自然と同調した伝統的な女性の生き方についての洞察がライフワーク。