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2021/5/21(金)-23(日) 伝統的ヨーガの理論と技術
〜ヨーガでトータル・ヘルスケア
健康的生活へのマイペースな取り組み方へ〜

ヨーガの実践 講義の様子 ヨーガの実践

このワークショップは、インドの伝統的なヨーガのリソースに段階的にアプローチして行くことで、ヨーガへの理解と自信を深めて行く「伝統的ヨーガの理論と技術」の一環です。
ヨーガのどのような側面に興味を持たれている場合でも、ヨーガの再認識に役立つ集中プログラムです。

レベルは一般向けです。
テーマは「ヨーガでトータル・ヘルスケア」。
世界的な新型コロナのパンデミックが進行中の現在、伝統に根差した「癒しの知」による健康的生活へのマイペースな取り組み方は、関心が高まっているテーマと思われます。

ヨーガの初心者の方から長年ヨーガを実践されている方、そして、現在ヨーガの指導に携わっている方にも有益な内容です。
現在インドのヨーガ改革で共通認識となっているヨーガの基礎知識と、スタンダードなヨーガの技法について確認しながら、「トータル・ヘルスケア」のツールとしてのヨーガの役割を再認識して行きます。

理論面については、予習用の講義ビデオで現在インドで再構築されているヨーガの共通認識について、事前に理解して頂けるよう準備します。
養生園でのWS期間中はヨーガの実習面に集中しながら、参加者のみなさんがご自分のヨーガの練習を確立・確認できるようご指南します。

日程:
2021年5月21日(金) ~23日(日)〔2泊3日〕
参加費:
68,000円(個室料金込み)
講師:
相方宏・相方秀子
  • ※最大人数10名程度
  • ※10%税込。宿泊費、食費(1泊あたり2食)、プログラム参加費、繁忙期料金のすべてを含みます。
  • ※2~3人連れ(同室)でご参加いただく場合は、1名あたり6,000円を参加費より割引いたします。

★さらにゆっくりと過ごしたい方は里の家、新棟での前後泊が1泊より可能です。ご希望の方はリトリートご予約時にお知らせください。

ご予約はこちら

【プログラムの背景】

ヨーガの本家インドでは、2015年からインド政府主導のヨーガ改革が本格化しており、インドの伝統文化に根差した叡智を現代の保健医療・教育分野へ適応して行く規格化/資格化/学歴化が進められています。

 

特に、デリーの国立ヨーガ研究所(MDNIY)は、伝統的ヨーガと現代的な健康科学を統合することで、ヨーガを万人向けのトータル・ヘルスケアのツールとして確立・普及させる上での主導的な役割を果たしています(6月21日の国連国際ヨーガ・デーに合わせた「ヨーガ・プロトコール」の策定など)。

 

これは、WHO(世界保健機構)が健康の定義を従来の身心面と社会面に加えて、精神面まで拡大する方向性に準拠したものでもあり、ヨーガ・トレーニングのグローバルなスタンダードの策定も進行中です。

【プログラムのリソース】

参照されるリソースは、2017年にインド政府AYUSH省から刊行されたヨーガの『公式ガイドブック(Certification of Yoga Professionals Official Guidebook Level1)』で、主に 「1章ヨーガとヨーガ実習」「2章ハタ・ヨーガ入門」「3章パタンジャリ入門」の部分です。

1章 ヨーガとヨーガ実習
1.1 ヨーガの語源
1.2 ヨーガの起源と発展の簡潔な紹介
1.3 ヨーガの目標と目的
1.4 一般的なシャッド・ダルシャナの紹介、 特にサーンキャ・ヨーガに関連して
1.5 ヨーガの4つの道の一般的紹介
1.6 ヨーガとヨーガ実習の原則
1.7 ヨーガ実習のガイドライン

2章 ハタ・ヨーガ入門
2.1 ハタ・ヨーガの紹介
2.2 主要なハタ・ヨーガ文献の概説、特に『ハタ・プラディーピカー』と 『ゲーランダ・サンヒター』を参照
2.3 ハタ・ヨーガ修行の成功要因(サーダカ・タットワ)と失敗要因(バーダカ・タットワ)
2.4 ハタ・ヨーガに於ける「ガタ」と「ガタ・シュッディ」のコンセプト
2.5 ハタ・ヨーガに於ける「シャット・クリヤー」の目的と有用性
2.6 ハタ・ヨーガに於ける「アーサナ」の目的と有用性
2.7 ハタ・ヨーガに於ける「プラーナーヤーマ」の目的と重要性

3章 パタンジャリ入門
3.1 パタンジャリによるヨーガの定義、本質、目的
3.2 「チッタ」と「チッタ・ブーミー」のコンセプト
3.3 「チッタ・ブルッティ」と「チッタ・ブルッティ・ニローダ・ウパーヤ」(アビヤーサとヴァイラギャ)
3.4 「イーシュヴァラ」と「イーシュヴァラ・プラニダーナ」 のコンセプト
3.5 「チッタ・ヴィクシェーパ (アンタラーヤ)」とそれらの付随現象(サハ・ブーヴァ)
3.6 「チッタ・プラサーダナ」のコンセプトと精神衛生との関連
3.7 ヨーガに於ける「クレーシャ」とその重要性
3.8 パタンジャリの「アシュターンガ・ヨーガ」:その目的と効果、その重要性

【伝統的ヨーガの理論と技術】

ヨーガの歴史は古く、そのルーツはインドの精神的修行法として伝承されて来た身心統合・精神統一の方法論にあります。1920年代にヨーガの学術的研究が西インド・マハーラーシュトラ州のロナヴァラに設立されたカイヴァリヤダーマ研究所で着手されたことで、サイエンスをベースとした近代的ヨーガが一般社会の医療・教育分野に浸透して行くプロセスが始まりました。1960年代以降、ヨーガはある種の神秘的な装いを纏うインド発の健康法として諸外国にも広く伝搬されて行き、日本にも1960年代からヨーガが紹介されて来ました。日本では1990年代にヨーガが絡む大きな社会的スキャンダルによる停滞がありましたが、近年再びヨーガ・ブームと呼べる時期が到来しています。

 

しかし、ヨーガは無限とも言える多様性を許容するインドの宗教文化に伝承されて来たため、誤解や混乱も多い分野です。特に、基準となるスタンダードな理論や技法への認識の不足が、しばしばヨーガの常識的な理解や社会的受容への障害になって来ましたし、ヨーガにまつわる誤解やスキャンダルの温床にもなっていました。

  ヨーガの本家インドでは、インド国外でのヨーガの恣意的な解釈や行き過ぎた商業化、またインド国内でのヨーガへの関心の高まりから、2008年にモラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)主導によりインド・ヨーガ協会(Indian Yoga Association)が結成され、ヨーガのスタンダード化とヨーガ教育課程へのガイドラインを策定する作業が着手されました。そして、2014年にヒンドゥー民族主義系のインド人民党(BJP)政権が成立したことで、国策としての「ヨーガ改革」が始まると同時に、ヨーガを世界的な文化戦略のツールとする政策が進行中です。

 

2015年から国連で「6月21日」が「国際ヨーガ・デー」として制定されたことに合わせて、国立ヨーガ研究所から「ヨーガ共通手順(Common Yoga Protocol)」が提示され、同時にインド政府AYUSH省でQCI(Quality Council of India/インド品質協会)によるヨーガ検定試験制度が導入されました。2017年には公式ガイドブックも出版され、その延長線上でWHO(世界保健機構)からヨーガ・トレーニング・プログラムの国際基準となるベンチマークも公表される予定です。また、インド国内の各大学にヨーガ学科の開設が推進されるなど、インドではヨーガの「ルネッサンス」と呼べるような状況がやって来ています。

 

わたしたちがこれからもヨーガと関わって行く限り、インドで現在進行中の「ヨーガ改革」の方向性を無視することは出来ないでしょう。とかく今までヨーガには実体のない「鵺(ぬえ)」のようなところがありましたが、ヨーガに関する客観的で公的な基準が明確になって来たことで、今後どのような距離感でヨーガと付き合って行くかの考察と具体的な対応が可能になって来ました。またインド側が「ヨーガはインドの伝統文化である」という主張を前面に押し出して来たことで、ヨーガと健全な関係を築いて行く上での日本人としての主体性も問われています。

 

現在インドで進行中のヨーガ改革も、1920年代からロナヴァラに蓄積されて来た学術的なヨーガのリソースが土台となっています。日本でも今後も健全なヨーガの活動が持続的に発展し、ヨーガによる恩恵が提供されて行くには、常にインドの伝統的リソースに基づいたニュートラルで学術的なヨーガの知識を確認して行くことが有益です。各個人の多様な関心に答える柔軟性もヨーガの特性のひとつですが、ヨーガのどのような面に興味を持つ場合でも、ある段階で伝統的なヨーガのリソースについて知って行くことは望ましいステップと言えます。

 

2008年から着手された「伝統的ヨーガの理論と技術」というアプロ―チは、ヨーガとライフワーク的な付き合い方を志向されている方へのサポートとなるよう、時代の変化に合わせて常に最適化が進められています。

相方 宏・ひで子

講師プロフィール

相方 宏(あいかたひろし)

広島生まれ。東京外語大インド・パーキスターン学科卒、インド・マハーラーシュトラ州のカイヴァリヤダーマ研究所付属カレッジ卒(DYEd1990-91)、1991-93年プネー大学哲学科修士課程(M.A.)修了、博士課程(Ph.D.)中退。1995−7年インド政府給費留学生(ICCR)、1996年インドの大学講師資格試験通過(SET/哲学)。近代的ヨーガ研究のパイオニアであるスヴァーミー・クヴァラヤーナンダ(本名ジャガンナート・グネー:1883-1966)が1924年に設立したカイヴァリヤダーマ研究所の主要スタッフであったマノーハル L.ガローテー博士(1931-2005)に師事。ガローテー博士が1996年に設立したロナヴァラ・ヨーガ研究所のプログラム・コーディネーター。また、2014年に開講されたカイヴァリヤダーマ研究所のオンラインコースのメンター。1998年よりタイランドの大学でヨーガを医療・教育分野に導入する活動に従事(シーナカリンヴィロード大学哲学宗教学科、ソンクラー大学看護学部)。2004年よりMCB財団タイ・ヨーガ研究所共同ディレクター(http://www.thaiyogainstitute.com/)。1年をインドでの「研究期間」とタイでの「仕事期間」に割り当てながら、ヨーガをテーマとしたインド研究とアジアの精神性の探究を続ける。近年は広い意味での仏教的精神性とヨーガの統合的理解へ注力中。日本では2008年より穂高養生園で「伝統的ヨーガの理論と技術」の合宿セミナー・シリーズを実施。

相方秀子(あいかたひでこ)

東京生まれ。1987年より、夫とヨーガの探究生活に入る。1990年よりインド・タイ在住、インドやアジア諸国に伝承されている健康の維持増進の方法論についての研究と活動。公私に渡り、夫の研究と仕事をサポート。ヨーガをテーマとして、インドやアジアの仏教国での自然と同調した伝統的な生き方についての洞察がライフワーク。