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2023/10/10(火)-12(木) わたしの、伝統的ヨーガ2023「学び・学び直し編」
~セルフケアの扉をひらくとき~

わたしの、伝統的ヨーガ2023 実習中 実習中 ヨーガの実践

ここ数年の世界の大きな流れの変化は自分の健康を自分で守る大切さを再認識するきっかけになりました。
また、行き先が不透明な世界情勢によって知らずしらずのうちに疲弊したこころへの処し方も多くの方にとって課題になっいるようです。
そんな中、自分で自分のからだとこころの健康を守り、自分を支えるためのセルフケアがさらに大切な時代になっています。

アーサナ(ヨーガの姿勢)でからだのバランスをととのえて体調をすこやかに管理し、プラーナーヤーマ(ヨーガの呼吸法)でこころをしずめてストレスケア。
そして、メディテーション(瞑想法)で自分自身を深く見つめ、賢い自分を取り戻す。

セルフケアとしてのヨーガが日常の習慣になれば心身の健康への自信がおのずと高められ、また変化の多いこの世界への処し方も変わってゆくでしょう。

ヨーガの実習のここちよさや講義への理解は、ととのった食事や清々しい自然環境のなかでこそ得ることのできるものがあります。

養生園には「ヨーガの学び/学び直し」を始めて行くための最適な環境が整っています。

理論面は事前のビデオ学習などでフォローアップしますので養生園でのワークショップ期間中はヨーガの実習面に集中してここちよいヨーガの効果をくりかえし体感し、習慣化できるようガイドします。
ヨーガをはじめたい方も、もう一度学び直したい方もどうぞお気軽にご参加ください。


日時
2023年10月10日(火)~12日(木)
参加費:
71,000円(1人部屋)
ご宿泊:
新棟(授業は新棟で実施します)
最小催行人数:
4名
  • ※料金は消費税10%、宿泊費、繁忙期料金、食費、プログラム参加費のすべてを含みます。

★さらにゆっくりと過ごしたい方は里の家、新棟での前後泊が1泊より可能です。ご希望の方はリトリートご予約時にお知らせください。

ご予約はこちら

このプログラムは2008年から毎年、穂高養生園で実施され来ている「伝統的ヨーガの理論と技術」のセミナー・シリーズの改訂版で、エントリーレベルの「はじめる編」とヨーガ経験者の方のステップアップへの「学び直し編」に分かれています。

 

学び・学び直し編:多様なヨーガのメリットを生かす学びと学び直しに向けて

こちらのワークショップは、セルフケアのメソッドとして優れたメリットを持つヨーガに親しむプログラムです。これからヨーガをこれからはじめてみたい方や、今までヨーガに親しんできた方など、どなたにも参加いただけるプログラムです。

 

ヨーガの背景にあるインド文化の特性に触れながら、ヨーガの基本知識とスタンダードな技法をここちよい実習を通して確認しましょう。日常のトータル・へルスケアに生かせるヨーガのスタイルを提案します。
※2015年に始まったインド政府主導のヨーガ改革による次世代へ向けたヨーガ実践の基準作りを参照します。

   

理論面については、事前の予習用講義ビデオを提供します。養生園でのワークショップ期間中はヨーガの実習面に集中することで、参加者のみなさんがご自分のヨーガ実践を確立・習慣化できるようにガイドします。また、ヨーガの指導に携わっている方には、指導面でのステップアップのポイントについてもガイドしてゆきます。
ヨーガの本家インドのヨーガ改革と連動しながら、オープンで、持続可能で、ゆるやかで、無理なく心身の健康と精神的成長へ導いてくれる「ヨーガの学び」のエコシステムを目指したプログラムです。

フォローアップとして、興味のある方にはWS後にもヨーガの実習を継続して行くオンラインでの実習クラスや、本家インドで打ち出されているヨーガの新規格での資格習得(YCB/IYA)を目指すガイダンスを提供して行きます。

 

参照資料:
インド政府AYUSH省YCBシラバス2021年版
インドヨーガ協会IYAシラバス2022年版
インド政府AYUSH省刊行(2017) 『ヨーガ検定公式ガイドブック1(Certification of Yoga Professionals Official Guidebook Level 1)』

【伝統的ヨーガの理論と技術】

ヨーガの歴史は古く、そのルーツはインドの精神的修行法として伝承されて来た身心統合・精神統一の方法論にあります。1920年代にヨーガの学術的研究が西インド・マハーラーシュトラ州のロナヴァラに設立されたカイヴァリヤダーマ研究所で着手されたことで、サイエンスをベースとした近代的ヨーガが一般社会の医療・教育分野に浸透して行くプロセスが始まりました。1960年代以降、ヨーガはある種の神秘的な装いを纏うインド発の健康法として諸外国にも広く伝搬されて行き、日本にも1960年代からヨーガが紹介されて来ました。日本では1990年代にヨーガが絡む大きな社会的スキャンダルによる停滞がありましたが、ヨーガへの期待と根強い関心は衰えることはなく、近年再びヨーガ・ブームと呼べる時期が到来しています。

 

しかし、もともとヨーガは無限とも言える多様性を許容するインドの宗教文化に伝承されて来たため、何かと誤解や混乱も多い分野でした。特に基準となるスタンダードな理論や技法への認識の不足が、しばしばヨーガの常識的な理解や社会的受容への障害になっていましたし、ヨーガにまつわるスキャンダルの温床にもなっていました。

 

ヨーガの本家インドでは、インド国外でのヨーガの恣意的な解釈や行き過ぎた商業化、またインド国内でのヨーガへの関心の高まりから、2008年にモラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)主導によりインド・ヨーガ協会(Indian Yoga Association)が結成され、ヨーガのスタンダード化とヨーガ教育課程のガイドラインを策定する作業が着手されました。そして、2014年にヒンドゥー民族主義系のインド人民党(BJP)政権が成立したことで、国策としての「ヨーガ改革」が始まり、インドの伝統文化に根差した叡智を現代の保健医療・教育分野へ適応して行く規格化/資格化/学歴化が官民一体で進められています。

 

2015年から国連で「6月21日」が「国際ヨーガ・デー」として制定されたことに合わせて、国立ヨーガ研究所から一般向けに規格化されたヨーガ実習プログラムである「ヨーガ・プロトコール(Common Yoga Protocol)」が公開され、同時にインド政府AYUSH省でQCI(Quality Council of India/インド品質協会)が策定したヨーガ教育能力検定制度が導入されました。並行してインド国内の各大学にヨーガ学科の新設が推進されています。

 

2017年にはAYUSH省からヨーガの公式ガイドブックが出版、その延長線上でWHO(世界保健機構)からヨーガ・トレーニング・プログラムの国際基準となるベンチマークが公表される予定です。2021年6月21日の第6回国際ヨーガ・デーにはWHOとAYUSH省の共同制作によるヨーガ学習用アプリ『mYoga』もリリースされました。

 

特に、新型コロナ・パンデミックの勃発以降、自己免疫力向上への切り札としてヨーガの実践が前面に打ち出されたことと、ロックダウンや行動制限に伴いインターネット上でのヨーガ活動が拡大したことで「ヨーガ改革」が加速化されています。

 

ヨーガに関心のある日本のわたしたちにとっても、本家インドでの「ヨーガ改革」は大いに歓迎されることに思えます。とかく今までヨーガには実体のない「鵺(ぬえ)」のようなところがありましたが、ヨーガに関する客観的で公的な基準が明確になって来たことで、今後どのような距離感でヨーガと付き合って行くかの具体的な対応が可能になって来ました。

 

またインド側が「ヨーガはインドの伝統文化である」という主張を前面に出して来たことで、ヨーガと健全な関係を築いて行く上での日本人としての主体性も問われることになりました。

 

現在インドで進行中の「ヨーガ改革」も、1920年代からロナヴァラに蓄積されて来た学術的なヨーガのリソースが土台となっています。日本でも今後も健全なヨーガの活動が持続的に発展し、ヨーガによる恩恵が広く提供されて行くには、インドの伝統的リソースに基づいたニュートラルで学術的なヨーガの知識を確認して行くことが有益です。

 

各個人の多様なニーズに応える柔軟性もヨーガの特性のひとつですが、ヨーガのどのような面に興味を持つ場合でも、ある段階で伝統的なヨーガのリソースについて知って行くことは望ましいステップと言えます。

 

2008年から着手された「伝統的ヨーガの理論と技術」というアプロ―チは、ヨーガとライフワーク的な付き合い方を志向されている方へのサポートとなるよう、時代の変化に合わせて常に最適化が進められています。

相方 宏・ひで子 相方 宏

講師プロフィール

相方 宏(あいかたひろし)

相方 宏(あいかたひろし):広島生まれ。東京外語大インド・パーキスターン学科卒、インド・マハーラーシュトラ州のカイヴァリヤダーマ研究所付属カレッジ卒(DYEd1990-91)、1991-93年プネー大学哲学科修士課程(M.A.)修了、博士課程(Ph.D.)中退。1995−7年インド政府給費留学生(ICCR)、1996年インドの大学講師資格試験通過(SET/哲学)。近代的ヨーガ研究のパイオニアであるクヴァラヤーナンダ(1883-1966)が設立したカイヴァリヤダーマ研究所(1924-)に35年勤務したマノーハル L.ガローテー博士(1931-2005)に師事。ガローテー博士が定年退職後1996年に設立したロナヴァラ・ヨーガ研究所のプログラム・コーディネーター。また、2014年に開講されたカイヴァリヤダーマ研究所のオンラインコースのメンター。1998年よりタイランドの大学でヨーガを医療・教育分野に導入する活動に従事(シーナカリンヴィロード大学哲学宗教学科 / ソンクラー大学看護学部)。2004年よりMCB財団タイ・ヨーガ研究所共同ディレクター。(http://www.thaiyogainstitute.com/)2017年よりインド政府AYUSH省のヨーガ教育能力検定試験の日本での実施にも携わる。

1年をインドでの「研究期間」とタイでの「仕事期間」に割り当てながら、ヨーガをテーマとしたインド研究とアジアの精神性の探究を続ける。近年は広い意味での仏教的精神性とヨーガの統合的理解へ注力。また現在インドで進行中のヨーガ改革の方向でのヨーガの再構築を模索。日本では2008年より穂高養生園で「伝統的ヨーガの理論と技術」の合宿セミナー・シリーズを実施。ここ3年余りは新型コロナ・パンデミックの余波でインターネット上での活動に比重が置かれている。

相方秀子(あいかたひでこ)

東京生まれ。1987年より、夫とヨーガの探究生活に入る。1990年よりインド・タイ在住、インドやアジア諸国に伝承されている健康の維持増進の方法論についての研究と活動。公私に渡り、夫の研究と仕事をサポート。ヨーガをテーマとして、インドやアジアの仏教国での自然と同調した伝統的な生き方についての洞察がライフワーク。